三菱一号館美術館で開催されている『ヴァロットン-黒と白』へ。あんまりちゃんと知らない芸術家だったのですが、告知のポスターに惹かれて足を運びました。
モノクロで、極限までシンプルな線と面で動きや感情を表現する木版画の面白さ。好きだなぁ。
風刺画で大衆が描かれるときのお顔の描写とか、なんともコミカルでかわいかったです。
と思えば、死や複雑な男女間、戦争を描くシビアな作品も多く、社会風刺を描くにとどまらない、作者が生きた時代の流れや人生観を感じるものでした。
展示のなかで特に惹かれたのは楽器シリーズ。黒が面の多くを占めているのに、すごくリアリティがあるというか、動きや息遣いを感じて、美しかったです。
版木があればたくさん刷れるリトグラフの宿命ゆえ、作品の希少価値を守るために限定数を刷ったら版木を壊していたというエピソードは、わかるんだけども、なんだかちょっと複雑な気持ちになりました。
作品の良さだけでなく、各セクションの飾りの影の落ち方が素敵だったり、要所要所のアニメーションがチャーミングだったり、キャプションのデザインにもひと工夫あったり、各所にこだわりが感じられる空間づくりも素敵でした。
展覧会の物販もまた可愛くって、思わず買ったタブレットチョコレート。
包みが作品柄なのです。
ここ数年、こうした企画展の物販の気合の入り方がすごいなと思っていて、まんまと手に取ってしまいます。